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マイコプラズマ肺炎が流行しているようです。8年ぶりの流行とのことです。
2024.10.10
マイコプラズマ肺炎が再び流行の兆しを見せています。8年ぶりの流行と言われるこの感染症について、詳しく解説していきます。
マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。
この細菌は非常に小さく、一般的な細菌とは異なり細胞壁を持たないという特徴があります3。マイコプラズマ肺炎は、主に学童期から青年期にかけて多く発症します。家族内や学校、職場などでの集団感染が起こりやすく、特に密接な接触のある環境で広がりやすい傾向があります。
興味深いことに、マイコプラズマ肺炎は日本において従来4年周期で流行を繰り返す傾向がありました。特にオリンピックの開催年に流行するという特徴から「オリンピック病」とも呼ばれていました。
しかし、近年はこの周期性が崩れつつあり、2020年の東京オリンピック(実際には2021年に延期)の年には新型コロナウイルスの影響もあり、大きな流行は見られませんでした。
2024年の流行状況
2024年に入り、マイコプラズマ肺炎の患者数が全国的に増加傾向にあることが報告されています。
国立感染症研究所の2024年第31週(7月29日〜8月4日)の感染症発生動向調査週報によると、この週のマイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数は0.88となり、前週の0.78と比較して12.8%の増加が見られました。
東京都の感染症情報センターが公開しているデータによると、2024年の6月下旬頃から報告数が急激に増加していることが確認されています。
この傾向は、8年ぶりの大きな流行の可能性を示唆しています。専門家たちは、この流行が再び4年周期のパターンに戻る兆候なのか、それとも新たな流行パターンの始まりなのかを注視しています。いずれにせよ、2024年のパリオリンピックの年に合わせて流行していることは興味深い事実です。
症状と診断
マイコプラズマ肺炎の初期症状は、一般的な風邪に似ています。主な症状には以下のようなものがあります。
・発熱
・咳(特に乾いた咳が特徴的)
・喉の痛み
・頭痛
・倦怠感
症状は通常、緩やかに進行します。発症から3〜5日後に乾いた咳が顕著になり、これが数週間続くことがあります。
咳は夜間に悪化することが多く、睡眠を妨げる原因となることもあります。マイコプラズマ肺炎の特徴的な点として、高熱が続く割に患者の全身状態が比較的良好であることが挙げられます。
しかし、適切な治療を行わないと症状が悪化し、重症の肺炎に発展する可能性があります。診断は以下のような方法で行われます。
1.胸部X線検査:肺炎に特徴的な陰影を確認します。
2.血液検査:白血球数の増加や炎症反応の上昇を確認します。
3.抗原検査:喀痰や咽頭ぬぐい液を用いて行います。
4.PCR検査:より精度の高い検査方法ですが、実施できる医療機関が限られています。
5.血清検査:マイコプラズマの抗体価を測定します。
診断には注意が必要で、1回の検査では確定診断がつかないこともあります。また、抗原検査はインフルエンザや新型コロナウイルスの検査に比べて精度が低いため、陰性結果でも感染を完全に否定できない場合があります。
治療と予防
マイコプラズマ肺炎の治療には主に抗菌薬が用いられます。
マクロライド系やテトラサイクリン系の抗菌薬が有効とされており、症状に応じて適切な薬剤が選択されます。
治療期間は通常1〜2週間程度ですが、症状の改善状況によって異なります。しかし、近年ではマクロライド系抗生物質に耐性を示すマイコプラズマの割合が増加しており、治療に注意が必要です。
耐性菌の場合、別の種類の抗菌薬を選択する必要があります。治療中は十分な休養を取り、体力の回復を図ることが重要です。
また、合併症として気管支喘息の悪化や中耳炎、まれに髄膜炎などを引き起こすことがあるため、注意深い経過観察が必要です。
予防には一般的な感染症対策が有効です。
・こまめな手洗い
・マスクの着用
・適切な換気
・十分な睡眠と栄養摂取による体調管理
特に集団生活を送る環境では、これらの対策を徹底することが重要です。
マイコプラズマ肺炎は、多くの場合は自然に回復する軽症で済みますが、時に重症化することもあります。特に高齢者や基礎疾患のある方、妊婦の方は注意が必要です。
長引く咳や高熱が続く場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。2024年の流行を受けて、医療機関ではマイコプラズマ肺炎の検査体制を強化しているところも増えています。
新型コロナウイルスやインフルエンザとの鑑別も重要になるため、症状がある場合は医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
マイコプラズマ肺炎の流行は、私たちに感染症対策の重要性を再認識させるものです。日常的な予防策を心がけ、体調の変化に注意を払うことで、健康を守っていきましょう。
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