首相指名、30年ぶりの決選投票の可能性?どのようなルールなのか?過去の事例をまとめた。

2024年の衆議院選挙後、日本の政治情勢は新たな局面を迎えています。与党が過半数を割り込む中、首相指名選挙で決選投票が行われる可能性が高まっています。

この記事では、首相指名選挙の制度、決選投票のプロセス、そして過去の事例を詳しく見ていきます。

首相指名選挙は、衆議院選挙後に召集される特別国会で行われます。この選挙では、衆参両院の国会議員が投票を行い、新しい首相を選出します。

通常、与党が過半数を確保している場合、1回目の投票で首相が決定します。しかし、今回の選挙結果を受けて、状況が大きく変わる可能性があります。

首相指名選挙の仕組みと決選投票のプロセス

首相指名選挙では、有効投票の過半数を得た議員が首相に指名されます。

しかし、1回目の投票で過半数を得た議員がいない場合、上位2人による決選投票が行われます。

衆議院規則によると、決選投票では「過半数を得た者」ではなく「多数を得た者」が勝利すると規定されています。

つまり、決選投票では単純に多数派を形成すれば勝利できるのです。

今回の衆院選では、自民党と公明党を合わせても215議席しか獲得できず、過半数の233議席に18議席足りていません。

このため、与党は一部野党の協力を得なければ、石破茂首相(自民党総裁)を新首相に指名することができない状況です。

過去の決選投票事例

衆議院の首相指名選挙で決選投票が行われた例は、過去に4例あります。それぞれの事例を見ていきましょう。

  1. 1994年の事例:
    非自民連立の羽田孜政権が総辞職した後、当時野党だった自民党が社会党、新党さきがけとともに村山富市・社会党委員長を首相候補に擁立しました。一方、非自民連立側の新生党や公明党などは、自民党を離党した海部俊樹元首相を立てました。1回目の投票では両候補とも過半数に達せず、決選投票で村山氏が選出され、自社さ3党による連立政権が誕生しました。
  2. 1979年の事例:
    衆院選で自民党が過半数割れの敗北を喫したことから、党内で「40日抗争」が始まりました。大平正芳首相と、非主流派が擁立した福田赳夫氏の自民党2人が首相指名を争う異常事態となり、決選投票の結果、大平氏が17票差で選出されました。
  3. 1953年の事例:
    自由党の吉田茂氏が特別国会の首相指名選挙で過半数を獲得できず、決選投票で改進党の重光葵氏を破り、首相に指名されました。
  4. 1948年の事例:
    吉田茂氏と社会党の片山哲氏による決選投票が行われ、吉田氏が指名されました。

現在の政治情勢と今後の展望

2024年の衆院選結果を受けて、首相指名選挙で与野党とも過半数に届かず、30年ぶりの決選投票にもつれ込む公算が大きくなっています。

自民党は28議席を獲得した国民民主党に期待を寄せていますが、玉木雄一郎代表は首相指名選挙で自らの名前を書くと表明しています。

また、与党の「補完勢力」と呼ばれてきた日本維新の会は議席を減らし、党内で内紛状態にあり、方針が定まっていません。

このような状況下で、「石破茂」と「野田佳彦」の2人による決選投票となる可能性が高いと見られています。

現有議席数から推測すると、「石破茂」票が215+αで「野田佳彦」票は立憲民主党獲得議席148+α(立憲系無所属)となり、石破首相の続投が濃厚となる見込みです。

しかし、決選投票では白票を投じる党が出る可能性もあり、その場合は結果が変わる可能性もあります。

また、日本維新の会の代表は、石破氏にも野田氏にも投票しない意向を示しており、結果の予測を難しくしています。

今後の政治情勢は流動的であり、各党の動向や無所属議員の選択が大きな影響を与える可能性があります。

首相指名選挙の結果次第では、新たな連立政権の形成や政策の大きな転換が起こる可能性もあり、日本の政治は重要な岐路に立たされています。

国民の注目が集まる中、各政党は慎重に戦略を練り、国民の信頼に応える選択をすることが求められています。今後の展開に注目が集まる中、日本の政治の新たな局面が始まろうとしています。