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「尻呼吸」で日本人がイグノーベル章を受賞!2028年には新しい治療法が確立される!

2024.09.13

2024年9月、ユニークな研究に贈られるイグノーベル賞の発表が行われ、日本人研究チームが生理学賞を受賞しました。

東京医科歯科大学の武部貴則教授らの研究グループが「多くの哺乳類がお尻から呼吸ができる」ことを発見したとして表彰されたのです

「尻呼吸」研究の内容

武部教授らの研究チームは、ドジョウなどの一部の生物が肛門を通して腸内から酸素を取り込んでいることに注目し、哺乳類でも同様の現象が起こるのではないかと考えました

当初、研究チームは酸素ガスを直接哺乳類の腸内へ注入する方法を試みましたが、酸素の吸収量が少ないことや腸が破裂するリスクがあり、別のアプローチを取る必要がありました

試行錯誤の末、研究チームは酸素ガスではなく酸素を多く含む特殊な液体を使用する方法を開発しました。この方法を用いることで、呼吸不全の哺乳類の症状が改善することを明らかにしたのです

この「腸換気法」と呼ばれる新しい呼吸法は、完全に肺の機能が失われた患者の「肺呼吸」を代替するものではありませんが、人体の治療に応用した場合、従来の人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)を使った治療に比べて体への負担を軽減できる可能性があります

武部教授らの研究チームは、すでに人体での臨床試験を開始しており、「腸換気法」を利用した治療は2028年ごろにも国内で実現する可能性があるとしています

イグノーベル賞とは

イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究に与えられる賞です。1991年にアメリカのユーモア系科学雑誌『Annals of Improbable Research』の編集長マーク・エイブラハムズ氏によって創設されました

この賞は、一見すると奇抜で笑えるような研究に光を当てますが、その裏には深い科学的意義や社会的価値が隠れていることが多いのが特徴です

今回の受賞で、日本人のイグノーベル賞受賞は18年連続となりました

日本は1992年に資生堂の研究チームが「足の匂いの原因となる化学物質の特定」の研究で医学賞を受賞して以来、イグノーベル賞の常連国となっています

日本人の受賞が多い理由について、イグノーベル賞創始者のマーク・エイブラハムズ氏は次のように述べています:「日本には変わった人が多いです。変わった人が1人いると隣近所は快く思わないかもしれない。でも、他の皆さんはそれを誇りに思うんです。『変わった人は、我々みんなの変わった人だ』と。」この「型にはまらない」研究精神が、日本人の頻繁な受賞につながっているのかもしれません。

イグノーベル賞は、一見すると奇妙な研究を表彰しているように見えますが、その本質は科学と社会をつなぐ重要な役割を果たしています。

笑いを通じて多くの人々の関心を引き、その背後にある科学的な深さや社会的意義に目を向けさせる効果があるのです。

まとめ

2024年のイグノーベル生理学賞を受賞した武部教授らの「尻呼吸」研究は、イグノーベル賞の本質を体現しています。

一見すると笑いを誘う研究ですが、その裏には医療の進歩や患者のQOL向上という重要な課題に取り組む真摯な姿勢があります。

イグノーベル賞は、私たちに科学の面白さや、常識にとらわれない発想の大切さを教えてくれます。

同時に、一見奇抜な研究の中にも、社会に貢献する可能性が秘められていることを示しているのです。

日本人研究者の独創性と柔軟な発想が、今後もイグノーベル賞を通じて世界に発信されていくことでしょう。

そして、それらの研究が、いつか私たちの生活を豊かにする大きな発見につながるかもしれません。

イグノーベル賞は、私たちに笑いと驚きを与えるだけでなく、科学の多様性と可能性を教えてくれる素晴らしい賞なのです。

この記事を書いた人

研究所所長

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