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ナスカの地上絵でなぜ山形大学が注目されているのかを調べてみた。
2024.09.26
ナスカの地上絵と山形大学の深い関わり
ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」は、長年その謎に包まれた存在として世界中の人々を魅了してきました。
この巨大な地上絵の研究において、日本の山形大学が重要な役割を果たしていることをご存知でしょうか。
山形大学は、ナスカの地上絵の研究と保護を託された世界で唯一の大学として知られています。
山形大学ナスカ研究所の設立と活動
2004年、山形大学の坂井正人教授を中心とした「ナスカ地上絵プロジェクトチーム」が結成されました。
このチームは文化人類学、地理学、心理学、情報科学など、さまざまな分野の専門家で構成され、学際的な調査を開始しました。
2012年には、ペルーのナスカ市に「山形大学ナスカ研究所」が開所されました。
この研究所は、現地での研究推進のための拠点として機能しており、山形大学の研究者が滞在して研究や現地との連絡調整を行っています。
研究所の活動は、単なる学術研究にとどまりません。2015年にはペルー文化省と「特別協定書」を締結し、ナスカの地上絵に関する学術協力と保護活動を行っています。
これにより、山形大学は世界遺産の保護にも大きく貢献しているのです。
最新技術を駆使した研究手法
山形大学の研究チームは、最新の技術を駆使してナスカの地上絵の研究を進めています。
人工衛星画像や3Dスキャナなどの先進技術を活用し、地上絵の全体像の把握や分布図の作成を行っています。
さらに2018年からは、IBMコーポレーションとの共同研究により人工知能(AI)を導入しました。これにより、研究の加速化と、市街化の拡大に伴う破壊を防ぐ保護活動への貢献が期待されています。
AIを活用した地上絵の発見は世界初の試みであり、2019年には人工知能によって発見された最初の地上絵として、全長約5メートルの人型の地上絵が報告されました。
なぜ山形大学がナスカの地上絵研究で注目されているのか
山形大学がナスカの地上絵研究で注目されている理由は、以下のようにまとめられます:
1.独自の研究アプローチ: 山形大学の研究チームは、文化人類学、地理学、心理学、情報科学など、多分野の専門家による学際的なアプローチを採用しています。これにより、地上絵の研究に新たな視点と方法論をもたらしています。
2.最新技術の活用: 人工衛星画像、3Dスキャナ、そしてAIなど、最先端の技術を積極的に導入しています。これにより、従来の方法では発見が困難だった地上絵の発見や、より詳細な分析が可能になっています。
3.継続的な研究と成果: 2004年から継続的に研究を行い、多くの新しい地上絵を発見しています。2019年の発表では、新たに143点の地上絵を発見したことが報告されました。
4.国際的な認知と協力: ペルー文化省から正式に学術調査を許可された唯一の研究チームであり、ペルーをはじめ、米国、イタリア、ドイツなどの研究者との共同研究も活発に行っています。
5.教育への貢献: 山形大学の学生たちに、ペルーでの調査や保護活動に参加する機会を提供しています。これにより、学生たちは実践的な経験を積むとともに、異文化理解を深めることができます。
6.保護活動への貢献: 研究だけでなく、世界遺産であるナスカの地上絵の保護活動にも積極的に取り組んでいます。
山形大学の研究チームは、これらの取り組みを通じて、ナスカの地上絵の謎の解明に大きく貢献しています。
彼らの研究は、単に地上絵の数を増やすだけでなく、その制作年代や目的、制作方法などについても新たな知見をもたらしています。
例えば、新たに発見された地上絵の多くは、紀元前100年から紀元後300年頃に描かれたと推定されています。
また、地上絵が台地の西部にある複数の小道に沿った場所に集中しているという仮説を立て、それを実証しています。
さらに、AIを活用した研究では、人間の目では見つけにくい小規模な地上絵の発見にも成功しています。
これは、地上絵の制作過程や目的についての新たな仮説を立てる上で重要な手がかりとなる可能性があります。
山形大学の研究は、ナスカの地上絵が単なる芸術作品ではなく、当時の人々の生活や信仰と深く結びついていたことを示唆しています。
例えば、台形の地上絵は当時の儀礼場であり、儀礼で破壊された土器が地上絵の縁部に集中的に分布していることが明らかになっています。
このように、山形大学の研究は、ナスカの地上絵を通じて古代アンデス文明の人々の暮らしと創造力に迫るものとなっています。
その研究成果は、考古学や文化人類学の分野に新たな知見をもたらすだけでなく、世界遺産の保護や活用にも大きく貢献しているのです。
山形大学ナスカ研究所の活動は、学術研究、教育、国際協力、文化遺産保護など、多岐にわたる意義を持っています。
今後も、最新技術と学際的アプローチを駆使した研究が続けられ、ナスカの地上絵の謎がさらに解明されていくことが期待されます。
同時に、この研究を通じて、日本とペルーの文化交流や、世界遺産の保護に対する国際的な協力がさらに深まっていくことでしょう。
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