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パリ五輪、セーヌ川でのトライアスロン。道頓堀川より水質が悪いのか?感染症になった選手も出ている!

2024.07.31

パリオリンピックでセーヌ川を舞台にトライアスロン競技が行なわれます。しかし、セーヌ川の水質問題が取りざたされており、日本の道頓堀川よりも水質が悪いという話題も出ています。この記事では、セーヌ川の概要、水質の実態、そしてトライアスロン競技の安全性について探ってみましょう。

セーヌ川とは

セーヌ川はフランスを代表する河川の一つで、パリの中心部を流れています。全長777キロメートルにも及ぶこの川は、フランス北部のディジョン近郊に源を発し、英仏海峡に注いでいます。歴史的にも文化的にも重要な役割を果たしてきたセーヌ川は、パリの景観に欠かせない存在となっています。

観光名所としても有名で、セーヌ川クルーズは多くの観光客に人気があります。川沿いには、ルーブル美術館、オルセー美術館、エッフェル塔など、パリを代表する観光スポットが立ち並んでいます。

しかし、産業革命以降、セーヌ川の水質は徐々に悪化していきました。工場からの排水や都市部からの汚水が流れ込み、20世紀半ばには深刻な汚染状態に陥りました。1960年代以降、パリ市当局は水質改善に取り組み始め、一定の成果を上げてきましたが、現在でも課題は残されています。

道頓堀川より水質が悪い?

セーヌ川の水質が道頓堀川よりも悪いという指摘については、慎重に検討する必要があります。両河川の水質データを直接比較した公式の報告書は見当たりませんが、それぞれの河川の水質状況を確認してみましょう。

道頓堀川は大阪市を流れる川で、かつては深刻な水質汚濁に悩まされていました。しかし、1970年代以降の下水道整備や浄化対策により、水質は大幅に改善されています。2020年の大阪市の報告によると、道頓堀川の水質は環境基準を満たすレベルまで改善されており、BOD(生物化学的酸素要求量)の値は平均で2mg/L程度となっています。

一方、セーヌ川の水質については、パリ市当局が定期的にモニタリングを行っています。2021年の報告によると、パリ市内のセーヌ川のBOD値は平均で3-5mg/L程度とされています。この数値だけを見ると、確かにセーヌ川の方が道頓堀川よりも若干水質が悪いように見えます。

ただし、水質の評価は単一の指標だけでなく、様々な要因を考慮する必要があります。例えば、大腸菌の数や有害物質の濃度、水の透明度なども重要な指標です。また、河川の規模や流量、周辺の環境なども水質に影響を与えます。

したがって、単純にセーヌ川の水質が道頓堀川よりも悪いと断言することは難しいでしょう。両河川とも、かつての深刻な汚染状態からは大きく改善されていますが、都市部を流れる河川として、依然として課題を抱えていることは事実です。

トライアスロンの競技をしても大丈夫なの?

パリオリンピックでセーヌ川を利用したトライアスロン競技が予定されていることから、水質の安全性に関する懸念が示されています。オリンピック主催者側は、競技の安全性を確保するために様々な対策を講じていると発表しています。

まず、パリ市は2024年のオリンピックに向けて、セーヌ川の水質改善プロジェクトを進めています。下水処理施設の拡充や雨水貯留施設の整備など、総額14億ユーロ(約1,800億円)を投じた大規模なプロジェクトが進行中です。

また、競技直前の水質チェックも厳格に行われる予定です。国際トライアスロン連合(ITU)の規定では、大腸菌数や水温などの基準が設けられており、これらの基準を満たさない場合は競技の中止や変更も検討されます。

さらに、競技当日の対策として、川の流れを一時的に調整したり、浮遊物を取り除くための特殊な装置を使用したりするなど、様々な手段が検討されています。

しかし、これらの対策にもかかわらず、懸念の声は依然として存在します。2023年8月に行われたテスト大会では、大腸菌数が基準値を超えたため、水泳部門が中止になりました。この出来事は、水質改善の難しさと、残された課題の大きさを示しています。

専門家からは、短期的な対策だけでなく、長期的かつ持続可能な水質改善策の必要性が指摘されています。都市部の河川の水質改善には、下水処理システムの改善、工場排水の規制強化、市民の環境意識向上など、多角的なアプローチが求められます。

結論として、パリオリンピックでのセーヌ川でのトライアスロン競技の安全性については、主催者側の努力と対策にもかかわらず、完全に保証されているとは言い難い状況です。水質改善の取り組みは続けられていますが、天候や予期せぬ要因によって水質が急激に悪化する可能性も否定できません。

大会主催者、選手、そして観客の安全を最優先に考え、直前まで水質モニタリングを続け、必要に応じて柔軟に対応することが求められるでしょう。同時に、この問題を通じて、都市河川の水質改善の重要性や、持続可能な都市開発のあり方について、世界中の人々が考えるきっかけになることも期待されます。

パリオリンピックを通じて、セーヌ川の水質問題が国際的な注目を集めることで、今後の都市河川の環境保全に向けた取り組みがさらに加速することを願わずにはいられません。

≪追記≫大腸菌感染症になった疑いのある選手が出てきたようです

2024年8月5日に追記しました。

7月31日に行われたトライアスロン女子に出場したベルギーのクレア・ミシェル選手が入院したということでベルギーのオリンピック委員会が発表したようです。

そして、同国は5日実施の混合リレーを棄権したと発表しました。

大腸菌感染症とみられるようで、「残念ながら体調が悪く、競技から撤退せざるを得ない」と述べたとのことです。

既に男子のレースが延期になるなどの混乱が起こっています。

まずは、ミッシェル選手の一日も早い回復をお祈りいたします。水質の問題だけでなく、流れが強いなどの問題も選手からは上がっています。

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この記事を書いた人

研究所所長

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