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厚生労働省:106万円の壁、2026年に撤廃へ。社会保険の制度変更の詳細と影響

2024.12.06

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103万円の壁や106万円の壁、はたまた156万円の壁というようにさまざまな指標が出てきますが、いったい何を指しているのでしょうか?制度について詳しくまとめました。

2024年12月、厚生労働省が「106万円の壁」を2026年10月に撤廃する方向で調整に入ったというニュースが報じられました

この制度変更は、多くのパートタイム労働者や短時間労働者に影響を与える可能性があります。本記事では、現行制度の概要、変更点、そして156万円の壁との関係性について詳しく解説します。

現行制度:106万円の壁とは

「106万円の壁」とは、パートタイム労働者や短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件のことを指します

現行制度では、以下の条件をすべて満たす場合、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する必要があります。

週の所定労働時間が20時間以上
賃金が月額8.8万円以上(年収106万円以上)
・雇用期間の見込みが2カ月以上
・学生ではない
事業所の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)

この制度により、年収が106万円を超えると、それまで配偶者の扶養に入っていた労働者が社会保険料を負担することになり、手取り収入が減少する可能性があります

そのため、多くの労働者が年収106万円を超えないように就業時間を調整する「106万円の壁」が生じていました。

2026年10月からの制度変更

厚生労働省は、2026年10月から「106万円の壁」を撤廃する方向で調整に入りました

この変更により、年収要件が撤廃され、他の条件を満たせば年収に関わらず社会保険に加入することになります。主な変更点は以下の通りです。

1.年収要件(106万円以上)の撤廃
2.月額賃金8.8万円以上という基準の廃止
3.企業の判断で保険料を肩代わりできる可能性

企業の判断で保険料を肩代わりできる件は、昨日、ブログでまとめました。

この制度変更により、パートタイム労働者や短時間労働者の社会保険加入が拡大することが期待されています。

制度変更の影響と意義

1.就業調整の解消

「106万円の壁」の撤廃により、労働者が年収を抑えるために就業時間を調整する必要がなくなります。これにより、労働者がより柔軟に働くことができるようになり、労働市場の活性化につながる可能性があります。

2.社会保障の拡充

社会保険加入対象者が拡大することで、より多くの労働者が厚生年金や健康保険の恩恵を受けられるようになります。これは、将来の年金受給額の増加や医療保障の充実につながります。

3.企業への影響

従業員の社会保険加入が増えることで、企業の保険料負担が増加する可能性があります。ただし、厚生労働省は企業の判断で保険料を肩代わりできる仕組みを検討しているようです

4.配偶者の扶養からの独立

これまで配偶者の扶養に入っていた労働者が、独自に社会保険に加入することで、経済的な自立性が高まる可能性があります。

156万円の壁との関係性

「156万円の壁」は、配偶者控除に関連する制度です。

現行制度では、配偶者の年収が156万円を超えると、世帯主の所得税における配偶者控除が段階的に減額されます。「106万円の壁」の撤廃は、直接的には156万円の壁に影響を与えません。しかし、両者は労働者の就業行動に影響を与える「年収の壁」という点で関連しています。

106万円の壁が撤廃されることで、労働者はより自由に働くことができるようになりますが、156万円の壁は依然として存在します。そのため、世帯全体の税負担を考慮しながら就業時間を調整する必要が残ります。

今後の展望と課題

1.制度の周知と理解促進

新制度の導入に向けて、労働者や企業に対する十分な周知と理解促進が必要です。特に、社会保険加入のメリットや、就業調整が不要になることの利点を明確に伝えることが重要です。

2.企業の対応支援

社会保険料負担の増加に対応するため、企業への支援策や保険料肩代わりの仕組みについて、詳細な制度設計が求められます。

3.他の「壁」との整合性

106万円の壁の撤廃に伴い、103万円の壁(所得税)や156万円の壁(配偶者控除)など、他の年収に関連する制度との整合性を検討する必要があります。

4.労働市場への影響分析

制度変更が労働市場全体に与える影響を継続的に分析し、必要に応じて追加の施策を検討することが重要です。

5.社会保障制度の持続可能性

社会保険加入者の増加に伴う財政への影響を考慮し、長期的な社会保障制度の持続可能性を確保する取り組みが必要です。「106万円の壁」の撤廃は、労働市場と社会保障制度に大きな変革をもたらす可能性があります。この制度変更が、より多くの人々が安心して働ける社会の実現につながることが期待されます。同時に、残された課題に対しても、政府、企業、労働者が協力して取り組んでいくことが重要です。

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この記事を書いた人

研究所所長

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