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爵位が購入できる世界最小の自称国家「シーランド公国」について調べてみた。

2025.01.29

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北海の波間に浮かぶ小さな人工島、シーランド公国。この独特な自称国家は、多くの人々の興味を引き付けています。今回は、シーランド公国の歴史、現状、そして爵位購入の方法まで、詳しくご紹介します。

シーランド公国の位置と規模

シーランド公国は、イギリス南東部のサフォーク州から約10km沖合いに位置する人工構造物上に存在します。その総面積はわずか0.000207平方キロメートルで、世界で最も小さな自称国家の一つです。

人口に関しては、2016年の時点で27人と報告されています。この数字は変動する可能性がありますが、常時居住者はごくわずかであると考えられます。

シーランド公国の誕生と歴史

シーランド公国の歴史は、第二次世界大戦にさかのぼります。当時、イギリス政府はドイツの侵略から自国の海岸を守るために、北海に複数の要塞島を築きました。これらの要塞の一つが、後にシーランド公国となる構造物でした。

1967年9月2日、元イギリス陸軍少佐で海賊放送の運営者だったパディ・ロイ・ベーツが、この要塞を占拠し「独立宣言」を発表しました。彼は自らを「シーランドの公、ロイ公殿下」と名乗り、新しい国家の誕生を宣言したのです。

この独立宣言の背景には、イギリスの放送法違反で訴えられていたベーツが、法の及ばない場所を求めていたという事情がありました。当時、この要塞はイギリスの領海外に存在していたため、ベーツはここを新たな国家として確立しようと考えたのです。

シーランド公国の法的地位と国際関係

シーランド公国の独立性については、国際的に議論の余地があります。1968年11月25日、イギリスの裁判所はシーランドがイギリスの領海外に存在し、イギリスを含む周辺諸国が領有を主張していないことから、イギリス司法の管轄外であるとの判決を下しました。

しかし、2025年1月現在、シーランド公国を正式に国家として承認した国は存在しません。国際法の観点からも、シーランド公国の国家性には疑問が投げかけられています。国家成立の要件として一般的に認められている「永続的な人口」「明確な領土」「政府」「他国と関係を結ぶ能力」のうち、シーランド公国は特に「永続的な人口」と「他国と関係を結ぶ能力」の面で課題があると考えられています。

それでもなお、シーランド公国は独自の憲法、国旗、国歌を制定し、自国通貨であるシーランド・ドルも発行しています(アメリカドルと等価)。また、パスポートの発行や切手の販売なども行っており、独立国家としての体裁を整えています。

シーランド公国の興味深いエピソード

シーランド公国の歴史には、興味深いエピソードが数多く存在します。その中でも特に注目に値するのが、1978年に起こったクーデター事件です。

当時の公であるロイ・ベーツは、カジノ運営を計画し、西ドイツの投資家アレクサンダー・アッヘンバッハを首相に任命しました。しかし、アッヘンバッハはクーデターを画策し、オランダ人の傭兵を雇ってシーランドを急襲。当時の皇太子(現在の公)マイケル・ベーツを人質に取り、ロイ・ベーツを国外へ追放しました。

この危機に際し、ロイ・ベーツは英国で20名ほどの同志を募り、ヘリコプターを使用した奪還作戦を敢行。見事にシーランドを奪還することに成功しました。この事件をきっかけに、シーランド騎士団が創設されることとなったのです。

このエピソードは、シーランド公国の独立性と主権を象徴する出来事として、しばしば語られています。

シーランド公国の爵位購入方法

シーランド公国の特徴的な側面の一つに、爵位の販売があります。これは、国家の財政を支える重要な収入源となっています。以下に、爵位購入の具体的な方法と価格をご紹介します。

1.爵位の種類と価格:

男爵:6,158円~
伯爵:30,999円~
公爵:76,999円~

2.申請方法:
爵位の申請は、インターネットを通じて行います。申請代行を利用する場合、完全予約制となっています。申請時には、爵位を受ける人の氏名をカタカナか英語アルファベットで記入する必要があります。

3.支払い方法:
申込時に銀行振込で支払いを行います。

4.爵位証書の受け取り:
爵位証書は、シーランド公国から直接国際郵便で送られるか、ヤマト運輸のクロネコヤマトで国内発送されます。

注意事項:
・爵位授与までには1〜3カ月程度かかります。
・オーダーメイドのため、キャンセルや返品は一切できません。
・全ての爵位はプレミアムとされています。

シーランド公国の爵位を購入することで、あなたも形式上は貴族の仲間入りをすることができます。ただし、この爵位が他国で公式に認められることはありませんので、あくまでも趣味や話のネタとして楽しむものだと理解しておくことが重要です。

シーランド公国は、その独特な歴史と現状ゆえに、多くの人々の興味を引き付け続けています。法的には国家として認められていないものの、独立国家としての体裁を保ち続けるその姿勢は、ある意味で人間の自由と独立への憧れを体現しているとも言えるでしょう。

しかし同時に、シーランド公国の存在は、国家とは何か、主権とは何かという根本的な問いを私たちに投げかけています。国際法や外交関係の観点からは認められていなくとも、独自の歴史と文化を持ち、自らを国家だと主張し続ける存在。それがシーランド公国なのです。

爵位の販売や、独自の切手やパスポートの発行など、シーランド公国の活動は時に物珍しさや娯楽性を帯びて見えることもあります。しかし、それらの活動の背後には、独立国家としての地位を確立し、認められたいという強い願いがあるのかもしれません。

今後、シーランド公国がどのような道を歩んでいくのか、世界がこの小さな「国家」をどのように扱っていくのか、注目に値するテーマと言えるでしょう。北海の波間に浮かぶこの小さな人工島が、私たちに投げかける問いは、決して小さくないのです。

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この記事を書いた人

研究所所長

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