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辞職と失職の違いを解説。兵庫県知事斎藤元彦氏は失職を選択
2024.09.27
地方自治体の長(知事、市長、町長など)が議会から不信任決議を受けた場合、対応として「辞職」「失職」「議会の解散」のいずれかを選択することができます。しかし、それぞれには異なる法的意味と手続きが存在します。本記事では、それぞれの違いを事例を交えながら詳しく解説していきます。
1. 辞職と失職の基本的な違い
地方公共団体の長が不信任決議を受けた際、まず考慮されるのが「辞職」と「失職」の違いです。
- 辞職
辞職は、地方公共団体の長が自らの意思で職を辞することを指します。不信任決議が可決された場合、長は辞職を選択することができ、この場合は自主的な判断によるものとされます。辞職が受理されると、次の選挙が行われるまでの間、職務代行者が長の業務を引き継ぐことになります。 - 失職
一方、失職は法律の規定に基づいて自動的に職を失うことを意味します。例えば、不信任決議が可決されてから10日以内に辞職もしくは議会解散を行わなかった場合、自動的に失職することになります。失職の場合、長の意思は関係なく、法律の定めに従って職を失います。
2. 辞職と失職の選択肢に影響を与える要因
地方公共団体の長が辞職か失職の選択肢を決める際、以下のような要因が影響を与えます。
- 政治的背景
辞職を選ぶ場合、長は「政治的責任」を取る姿勢を示すことができます。この選択は、再度選挙に出馬し、改めて信任を得ることを目指す場合などに有効です。一方で、失職は「不信任決議を受け入れた」と見なされ、信任回復の機会を失う可能性があります。 - 議会との関係
議会との対立が深刻な場合、辞職を選ぶことで議会との対立の原因を解消し、自治体運営の安定化を図ることができます。一方で、失職の場合は、議会との対立が解消されず、次の長の選出に影響を及ぼすこともあります。
3. 議会解散という選択肢とそのリスク
不信任決議を受けた際、地方公共団体の長は辞職や失職を選ばずに「議会解散」を行うこともできます。この選択肢には、いくつかのメリットとリスクが存在します。
- メリット
議会解散を行うことで、長は引き続き職務を続けることができます。また、解散選挙で議会の構成が変わることで、長の政策実行がスムーズに進む可能性もあります。 - リスク
議会解散は、住民にとっては重大な選択であり、場合によっては「長が自らの職を守るために議会を犠牲にした」と見なされるリスクがあります。特に、解散後の選挙で支持を得られず、再度不信任決議が行われる場合も考えられます。
例えば、C市の市長は不信任決議を受けた際、議会解散を選択しましたが、解散後の選挙で再度対立派の議員が多数を占め、再び不信任決議が可決され、最終的に辞職を余儀なくされました。
このように、議会解散は最終手段であり、その後の状況を十分に見極めた上での決断が求められます。
まとめ
地方公共団体の長が不信任決議を受けた際の「辞職」「失職」「議会解散」の選択は、自治体の政治的安定性に大きな影響を与えます。
それぞれの選択にはメリットとデメリットがあり、事例を参考にしながら慎重に判断することが求められます。
特に、住民の信頼と支持を得るためには、どの選択が最も自治体運営にとって良い結果をもたらすのか、長期的な視点で考えることが重要です。